イエローの彼女を紹介され、彼らとの交流を深めていく。
結婚する約束を交わした2人。
反面、イエローの店は経営難。
店の地下倉庫には商品が山のように積まれていた。
それでもイエローの彼女は気丈にイエローを支えていくと
話してくれた。
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「メイクや美容に関する店を持ちたい」
そう話していたイエローの彼女。
少しでもお手伝いが出来ればと思い、日本の取引先オーナーさんへ
メールを打った。
数日後、オーナーさんかた届いたメールはとても好意的な内容だっ
だ。
「その台湾の女の子、就業ビザさえ揃えられればウチで勉強しても
らっても構わないよ。言葉の壁はあるだろうけど、もし、本当に
それだけの気持ちがあるなら、ウチは全力で応援させてもらうか
らさ。遠慮なく何でも相談してよ」
そして。
「台湾のマーケット。ちょっと興味があるんだよ。美容部員を連れ
て台湾に視察に行きたいんだけど、その子と会えるかな?話をし
てみた」
話が一気に前進していく。
台湾視察の予定を聞き、すぐさまイエローと彼女へ連絡した。
「ありがとうございます!彼女、とても喜んでます。ちょっ!ちょ
っと待って下さいね(笑)」
「もしもし、私です!」
イエローの彼女だ。
イエローから受話器を取り上げて話し始めたようだ。
「ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうござ
います!! こんなに早く話を進めていただけるなんて。。。夢
のようです」
「うん。私も展開に早さに驚いてるんだよ。喜んでくれて嬉しいよ」
「私。頑張ります!こんなチャンス。。。同じ夢を見ている台湾女
性は多いと思うけど、実際にこんなチャンスに恵まれる人は人握
りでしょうから。。。本当に嬉しい。ありがとうございます」
飛び上がって喜んでいる彼女の姿が目に浮かんだ。
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取引先オーナーと彼の店で働く美容部員さんが台湾に飛ぶ前々日、
私は台湾に入国を済ませていた。
台北で2~3の用事があり、それを済ませておきたかった。
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知人の店を回り用事を済ませ、午後からはホテルでのんびりと過ごし
ていた。
今日の夜にはオーナーさん達が台湾に入国する。
もう飛行機には乗った頃だな。
そして明日、イエローと彼の彼女たちと会う。
場所はイエロー達が住む中壢だ。
オーナーさんたちは台北以外にも地方都市を見てみたいと話してくれ
ていた。
明日が楽しみだな。
来台するオーナーさん達との晩ご飯を想像しながらベッドで横になっ
ていると携帯が鳴った。
イエローからだった。
イエローも彼女も明日が待ちきれないんだな。
携帯の通話をオンにした。
「もしもしイエロー!元気?いよいよ明日だね」
そう話しかけると
「はい。。。。。」
イエローの声のトーンが低い。
「どうしたんだよ~。イエローらしくないじゃん」
「はい。。。。。」
何か。。。。あったに違いない。
「どうしたイエロー。話してくれ。何かあったのかい?」
「実は。。。明日のミーティング。。。無かった事にしてもらえません
か?」
耳を疑った。
イエロー、何を今更。。。
もうオーナーさん達は台湾に着いている頃だよ。。。
「一体どうしたんだよ。もうオーナーさん達、台湾に来ちゃってるよ。
今更、予定を変更するなんて不可能だよ」
正直、腹が立った。
オーナーさん達の好意を踏みにじってしまうじゃないか!
オーナーさん達の旅費や時間をどう償えば良いんだよ!
しかし、今は冷静にイエローと話をしよう。理由を聞かなければオーナ
ーさん達へ説明も出来ない。
「イエロー。話してくれ。何があったんだ?」
「すみません、本当にすみません。。。。今は。。。今は理由を話せま
せん。本当に。。。ごめんなさい」
ご両親に何かあったのか?
だったら話せる筈だ。
となると。。。彼女との間に何かあったのか?
「落ち着いたら必ず連絡をします。日本から来てくれたオーナーさん達
へも謝っておいて下さい。本当に。。。本当にごめんなさい。。」
「分かった。オーナーさん達へは謝っておくよ。必ず連絡してくれよ」
「はい。分かりました。すみません。。。」
電話を切った。
次の瞬間、また携帯が鳴った。
オーナーさんからだった。
ホテルへのチェックインが終わったとのこと。
すぐに迎えに行きますと伝え、電話を切り、オーナーさんたちが宿泊す
るホテルへ向かった。
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ホテルロビーでオーナーさんと久々の対面。
「お~!元気だった。久々じゃない!」
「あ、ありがとうございます」
これから明日のミーティングが無くなったと伝えなければならない。
気が重い。。。
「実は。。。。」
理由が分からないまま、ミーティングが無くなった事を伝え、謝罪した。
とんでもなく怒られるだろう。
信用もがた落ち。
信頼関係にもヒビが入るだろう。
そう覚悟していた。
「そうかぁ~。仕方ないね。いいよ。気にしなくていいよ。こういう事
って運とタイミング。今回は会っても上手く行かないってことだと思
よ。明日はスタッフと台北市内の店を見学するからさ」
全身から力が抜けそうになった。
「すみませんでした。せっかく台湾まで来ていただいたのに。。。」
「いいの。いいの。気にしなくていいよ。今夜は美味しいもの食べよう
よ!」
オーナーは笑顔でそう言ってくれた。
気持ちの大きな人で良かった。
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翌日の朝。
携帯が鳴った。
イエローと共通の友人からだった。
「聞いた?イエローのこと?」
「いやぁ~、本当は今日、彼らに会う予定だったんだけど、昨夜急に電話
で。。。」
経緯を説明した。
「そうだったんですね~。すぐそちらにも連絡があると思いますが。。実
は彼らの婚約が破綻しました」
えっ?
婚約破綻???
あれほど仲が良かったのに。。。。
彼女は仕事を辞めてまでイエローの店で働いていたのに。。。
あの在庫の山を見てもなお、イエローを手伝いたいと話していた彼女。
その彼女との婚約が破綻した。。。。。
「どういう事?全然意味が分からないよ」
「う~ん、イエローとは親友なので私の口から話すのは気が進まないので
すが。。。実はこんなことが。。。」