台湾の親友チェンと彼の元教え子のアーピー。
今回はアーピーの大学試験日に何が起こったのかを書こうと
思う。
新竹にある大学の終始試験日。
当事者のアーピーと彼の両親。
そしてなぜかチェンとアーピーの彼女も一緒に試験会場にいた。
チェンとアーピーの両親は心配で仕方がない。
「あんた、本当に大丈夫なの?」
アーピーのお母さんが心配で何度もアーピーに話しかける。
「気まってんだろっ!こんなの楽勝なんだよ!」
いつものようにアーピーの強がり炸裂。
でも、挙動が不審でたばこに火を付けてばかり。
一目で緊張しているのが分かったそうだ。
「受験生のみなさん、指定のクラス、席にお座り下さい。15分後
にテストが始まります」
アナウンスが流れ、受験生たちは校舎内へ移動していく。
「頑張るんだよ」
「頑張って!」
「緊張するなよ」
チェンやアーピーのお母さん、アーピーの彼女が声援を送る。
「大丈夫だって言ってんだろ!俺様を誰だと思ってるんだよ!」
粋がるアーピー。
でも、顔が明らかに引きつっている。
「あ~。あ~。」
アーピーのお父さんだ。
お父さんは口が不自由だった。
大学の校舎を指さし「早く校舎に入れ」と言っていたのだろう。
「分かってよ!行きゃあいいんだろ?行ってやるよ!楽勝だって
~の!」
と口だけは威勢の良いアーピー。
途中なんども振り返り、なかなか校舎へ入らない。
「早くしないと試験が始まりますよ!」
大学の職員に促され、渋々と校舎へ向かうアーピー。
校舎に入る前、まだみんなの方を振り返った。
だっ、大丈夫なのだろうか???
不安でしかない。
みんな同じ気持ちだった。。。。
学科試験は3教科。
午前中で終わり、アーピーが校舎から出てきた。
ややがに股で虚勢を張っているのが伝わってくる。
「どうだったの?」
不安で仕方がないアーピーのお母さんが口を開いた。
「楽勝だよ、あんな低レベルな試験。大したことないな、大学
なんてさ」
うそぶいているけど、顔は緊張したままだ。
午後は面接と体育。
面接は英語で行われるという。
アーピーにはハードルが高い。
英語で質問されて、ちゃんと答えられるのだろうか?
話を聞いて驚いたのだが、この大学の面接試験。
子供と一緒に親も入室を許可される。
もちろん答えを言うことは禁止されている。
「次の方、どうぞ」
大学職員がアーピーを教室へ入るよう促す。
「ハイヨ~」
「この馬鹿息子、なんですかその答え方は!」アーピーのお母さん
が注意する。
「お静かに願います!」
大学職員に注意されてしまった。
アーピーががに股で教室に入り、面接官と向かい合って席に付く。
その姿を少し離れたところからアーピーの両親となぜかチェンが見
届ける。
英語での面接。
午前中の試験だってほとんど回答出来ていないだろうに。。。これ
は拷問でしかない。。。チェンはそう思ったそうだ。
面接が始まった。
「あなたの名前は何ですか?」
「どこから来ましたか?」
思ったよりもかなりレベルの低い質問。
「あ~」
「う~」
自分の名前と住んでいる街の名前だけは何とか答える事が出来たアー
ピー。
徐々に質問のレベルが上がり出す。
そして当然のごとく、全く答えられないアーピー。
「あ~」
「う~」
を繰り返すばかり。
「君、焦らなくても良いんだからね。ゆっくり考えて、ゆっくり答え
なさい」
そう言われて更に焦り出すアーピー。
「あ~」「う~」さえも出なくなってきた。
「きっ、君。。。」今度は面接官が焦りだしている。
「よっ、よし、ちょっと内容を変えようかな。緊張して普段の力が発
輝出来てないんだね」
優しい面接官!
「私に続いて言ってみて、ペアレンツ(Parents)。ハイ、どうぞ」
もはや面接ではなくなっている。。。。
「ペッ、ペッ、ペッ。。。」
焦るアーピー。
口が全然回らなくなっている。
「きっ、君、焦らなくて良いんだからね。ゆっくり、ゆ~~くりで大
丈夫だよ」
想定外の展開に試験管も対処に困り始めた。
「ペアレンツ」
「ペッ、ペッ、ペッ」
「ペアレンツ」
「ペッ、ペッ、ペッ」
「ペアレンツ」
「ペッ、ペッ、ペッ」
エンドレスなやり取りが続く。
「ペアレンツ。焦らないで。どうぞ」
「ペッ、ペッ、ペッ。。。。。」
ダメだこりゃ!!!
一同がそう思った瞬間
「パパ、ママ!」
ヘッ????
パパ、ママ????
意味は合っている。
けど面接官が聞きたかったのはそれじゃない。
緊張と焦りで口が回らなくなったアーピー。
言いやすくて意味は合っているパパ、ママと叫んだのだ!
「そ、そうだね。意味は合ってるね。よろしい。これで面接
試験を終わりにします」
笑顔の面接官。
完全に終わった。。。。
一同、肩を落として教室を後にした。
つづく