台湾喜人伝 19話 南国美少女 後日譚 1

初めての台湾。
会社の仕事で訪れた田舎町にある小さな玩具工場。
そこで出会った南国美少女との思い出。

突然、目の前から消え、2度と現れる事はなかった彼女
のことは、時間が経過するうちに痛みは薄れ、美しい思
い出となって私の心の中に生きていた。

あれから随分時間が経過し、私も仕事でもプライベート
でも様々な経験、体験を積んできた。


世の中にインターネットが登場し、その技術や環境が急
速に広まり、更に変化を遂げていた。

SNS。
登録すれば無料すぐに使う事が出来、友達と繋がる、
ネット上のコミュニティに参加したり、ゲームで遊べる
便利なものが登場した。

知人の間でも広まり、海外の友達から次々と友達申請の
連絡が入ってきていた


そんな環境が普及している中、ある取引先でバイトして
いる仲の良い女性達が学生時代の元彼を検索。思い切っ
て友達申請をしたら連絡が来た話や懐かしさのあまり関
係が修復した話などで盛り上がっていた。

そんな活用方法もあるのだな。

とは言え、会いたい人が特にいる訳でも。。。。いた。

あの子。
南国美少女だ。

幸い台湾では結婚しても女性は姓を変わらない。
検索は可能かも知れない。

時流に乗って、もしかすると彼女もSNSを使っている
可能性がある。

スマホでSNSを開き、彼女の名前を入れて検索。

すぐに名前に適合する人のアカウントが画面に現れた。
ヒットした!

なんとなくではあるが、当時の面影が残っている。
多分、このアカウントは彼女のものだ。


今では結婚し旦那さんと2人の子供と友に台北に住んで
いた。

写真がたくさんアップされていた。


画面を眺めているうちに懐かしい思い出が次々と思い出
されてくる。

彼女のこと。
サイさん一家のこと
小さな工場で出会ったパートのおばさん達。

みんな、元気にしてるかなぁ~



友達申請してみよう。
躊躇なく申請ボタンをタップした。

まだ私の事を覚えておいてくれているだろうか?
驚かせてしまうかな?
怖がられてしまうかな?
すっかり忘れ去られているかも知れない。

当時、私の事が嫌いになって工場に来なくなったのだ
としたら。。。迷惑だったかな。。。
いや、何か事情があった筈だ。。。。


様々な思いが胸に去来した。
でも、もうクリックしてしまった後だ。

申請を受けてくれれば嬉しい。
申請が受けてもらえないならそれまでの話。

SNSにはメッセージ機能もある。
どうせならメッセージを送ってみよう。

「こんにちは。
 SNSであなたの名前を検索しました。
 随分前の事になりますが、私は台湾の竹南にある小さな
 工場でクリスマスツリーを。。。。。」

と初めてにしては長いメッセージを送った。


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1日。
3日。
1週間
1ヶ月。。。。

しかし。。。申請が受理されることはなかった。

忘れられているのか?
警戒されているのか?

私の存在や言動が彼女には不快で、工場に来なくなってしま
ったのか。。。。。?
だとしたら、何をしてしまったのだろうか。。。。?

結婚もしているし、外国人の男からの友達申請なんて受けな
いよな~。

残念だけど仕方がない。

画面に映る彼女と彼女の家族の幸せそうな笑顔。
子供の成長を綴る記事。
作った料理の写真を毎日更新している。
料理が好きなんだなぁ~。

連絡を取りたかったけど仕方がない。
時は流れてしまっている。

でも、元気でいてくれた。

彼女は確実に存在し、そして今も台湾で生きていてくれている。

それが分かっただけで十分だった。

元気に過ごしているのが分っただけで十分じゃないか。
そう思う事にした。
そうするしかなかった。




つづく

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