NY滞在の思い出 チャイナタウンでスキンヘッド

チャイナタウンで坊主になる。

初めての海外旅行。
訪れたのはビッグアップル、ニューヨーク。

旅行と言うかショートステイ。
現地でアパートを借りて約1ヶ月ほど滞在した。

自由の女神や美術館への観光もしたけれど、普通の生活も
体験してみたかった。

現地に住み、仕事をしている人達と話をしてみたかった。

そんな動機でアメリカを訪れた。


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ニューヨーク滞在中。
日本ではやらないことにもトライしてみよう。

何でも良かった。
日本にいたら出来ないこと。


「まずは髪でも切りに行くか!」
当時は私にもまだ髪の毛があった。
(誰も聞いてないよ)

五番街近辺にあるオシャレなバーバーで。。。とも思ったけど
値段が高い。

学生旅行。
長期滞在する為にあまりお金は使えない。
なんとかならないかなぁ。。。

しばらく考えていた。。。。
「そうだ!チャイナタウン!」

到着して早々訪れたチャイナタウン。
ご飯を食べたけど、安価に済ませる事が出来たことを思い出した。

全体的に物価が安いのではないだろうか?

よし、チャイナタウンへ行ってみよう!

地下鉄に乗って数駅。
チャイナタウン近くの駅で下車して街をウロウロ。

予想に反し、歩いても歩いても床屋がなかなか見つからない。

裏路地に入ると日本の床屋さんの店頭に置いてある赤青白がクル
クル回るサインポールを発見。

「あった!床屋だ!」

ポールに近づくと雑居ビルの地下へ通じる階段があったので、そこ
を下ってみた。

鉄の扉が閉まっていた。
「あれ、営業してないのかな?」

そう思ったけど、せっかく見つけた床屋だ。
このまま引き返すのも勿体ない。

ドンドンドン!
と鉄の扉を叩く。。。中からは返事もなく、誰も出てこない。

よし、もう1度!
ドンドンドン!
カチャ。。。オッ!鍵を空ける音だ!

ギ~~~。
重そうな鉄の扉が開く。

「ハロー」
ちょっと場違いな笑顔で開いた扉の中をうかがうと、そこには
眠そうな顔をした女性が立っていた。

う~ん、どうみても営業中じゃないな。。。でも、ダメもとで
「髪、髪をカットして欲しいんだけど」

女性は目をこすりながら手を横に振る。
言葉が通じないのか?
今日は休みという意味なのか?

通じていないのなら。。と思い指をチョキの形にして、はさみ
のように動かしてみた。

相変わらずの無表情のまま、女性は手を横に振り、大きな鉄の扉
を閉めてしまった。

なんだあれ?

理由は分らないけど、髪を切る目的は果たせなかった。

もう少し歩いてみるか。
そう思い直してチャイナタウンをトボトボ歩く。

映画館ではジャッキー・チェンのポリスストーリーが上映されて
いた。


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しばらく歩いていると小さな床屋さんらしき店を発見。
中を見ると椅子に座ったお客さんをカットする人が仕事をしていた。

お~!
ようやく見つけたぞ!

少しドアを開けて

「お店、やってる?」と聞くと
「うん?ちょっと待ってて」と店の入口で少しの間待たされた。
おじさんは店の奥に入ってしまった。

しばらくすると、カットを担当していたおじおさんとメガネをかけた
30代の若いおじさんが出てきた。

「やぁ、何か用かい?」流暢な英語で話しかけてきた。
「はい。髪を切りたいんです」

「そうかい。君は。。。?」
「はい。日本人です」

「日本人の客なんて初めてだよ。珍しいね。さぁ、どうぞ」
メガネのおじさんは暖かく迎え入れてくれた。

どうやらカットをしていたおじさんは英語が出来なかったようだ。

椅子に座ると英語をメガネの話せるおじさんが
「さて、どんな髪型が良いのかな?五番街で流行っているような
 カットは出来ないからね」と笑顔で話しかけてきた。

髪型。。。どうしよう。
決めてないや。

せっかくかだら面白いことしてみよう。。。
30秒ほど考えてから
「頭の毛を短く。切るとと言うか。。。剃って欲しい」

スキンヘッドだ!
それしかないだろう!
なぜニューヨークでスキンヘッドだったのか?
それは私にも分らない。

「えっ?そっ、剃るの?本当に?」

メガネのおじさんが驚いていると、隣に座っているお客さんと彼を
カットしているおじさんが何やら中国語で騒ぎ出した。

「その子は何て言ってるんだ?」
多分、そんなやり取りをしていたのだと思う。

「ねっ君。英語は大丈夫なんだよね?今、剃るって言ったよね?」
メガネのおじさんが念を押すように聞いてきたので

「うん。剃る。スキンヘッドだよ」と答える。

「ちょっ、ちょっと待っててね」
そう言ってメガネのおじさんが店の奥にある扉を開けて出ていった。

しばらくして戻ってくると、おじさんの手にはホワイトボード。

「君、これで良いの?」
と私にホワイトボードを見せてくれた。

ボードには
「坊主」と書かれていた。

「イエス、イエス!これこれ!!」
と言いながら私は自分の頭に手を乗せてクルクルと動かす。

「変わった子だねぇ」
そう言ってメガネのおじさんがバリカンを手に持ち、髪の毛を短く
刈ってくれた。

その後、頭の表面にクリームを塗りたくり、カミソリで仕上げの作業
をしてくれた。

途中ちくちくしたのは、頭の皮膚がカミソリで切られたからだった。

ヘンテコリンな白い薬を出血箇所に塗ってくれて出来上がり。

わはははは!
スキンヘッドだ!

代金は5ドルほどだった。
安い!

「またおいで!」
メガネのおじさんが笑顔で送り出してくれた。

「サンキュー!謝謝!再見!」
私も笑顔で手を振った。

それにしても寒い。
外気をそのまま頭の皮膚で感じるのは初めて。
自分の手や指で逃避に触れるとヒヤッ!とした。

こんな感覚は初めてだ。

寒さで頭がやられるな。

アパートに帰る途中、雑貨屋でバンダナを1枚買って頭に巻いた。
少しだけ寒さを防ぐ事が出来た。

ここはニューヨーク。
ニューヨークの2月はとても寒かった。

あの床屋。
まだあるのかな?

もう1度行こうとしたけど、すっかり場所を忘れてしまい辿り着け
なかったっけなぁ~。

スキンヘッドをリクエストした変な日本人のこと。
覚えていてくれたらいいな。

おわり

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