パーティ パーティ IN 台北 4


台湾人のような日本人、私
爽やか青年のマイケル
そして筋肉お化けのキングゴリラ

なぜか話のウマが合うこの3人組。

楽しく談笑をしている時だった。

「コンバンワ~~~!」
いきなり大きな声を出して現れたおじさん

おじさんの隣にはレディM。
おじさんは。。。あのジャッキーだった。

満面の笑みで
「ワタシハ ニホンゴ ゼンゼン デキマセ~ン!」
とこれまた大きな声を張り上げながら、人懐っこい笑顔で
右手を差し出してくれた。

私が右手を差し出すと、その手を強く握りしめながら
「今日はありがとう。お会い出来て光栄です」と挨拶をして
くれた。


マイケルとゴリラはやや緊張した面持ちになっていた。

「一緒に写真、いいですか?」とジャッキー。
とても気さくだ。

「いいんですか?」と私が聞くと
「もちろんですよ。あたなも私の友人だ」と笑顔のジャッキー。
社交辞令だろうけど、素直に嬉しかった。

「マイケル。私のカメラで撮影してくれる?」とMがカメラを
マイケルに渡し、ジャッキー、M、そして私の3人で写真に収ま
った。

「マイケル、ゴリラ。新しい契約がまとまりそうだから、A社の
 社長さんに挨拶しておいて。ほら、あそこのテーブルにいるだ
 ろ?」とジャッキー。

マイケルとゴリラは
「ジャッキーさん、ありがとうございます!」と深々と頭を下げ
て「挨拶が終わったら戻ってくるね」と私に声を掛けてA社社長
がいるテーブルへ早足で向かった。

ジャッキーは目を掛けている新人タレントを自分の番組に出演さ
せたり、スポンサー企業との橋渡しをしたり。。。みんなの兄貴
分のような存在でもあるのだろう。

駆け出しの新人さんたちにとってはとても心強い存在のはず。

「M。ごめん、他のスポンサーさんにも挨拶に行かないと」とジ
ャキー。
「気にしないで。お時間を割いてくれてありがとう」とMが返す。

「謝謝」と私が言うと、軽くハグしてくれたジャッキー。

売れっ子タレントでもありやり手のビジネスマンでもある。
そんな印象だった。

「ジャッキーの後押しがあれば、新人君たちも安心だね」と私が
Mに話をふると

「個性的な人やイケメンなんて掃いて捨てるほどいる。顔が良く
 て歌が上手い位じゃ誰の記憶にも残らないわ。台湾人は飽きっ
 ぽいしね」とM。

「そうだね。言われてみれば、確かにそうだよね。」


A社の社長さんや重役らしき人達に笑顔で頭を下げているマイケル
とゴリラを見ながら、「どこの世界でも生き残るのは大変だな」と
思った。

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「M、DJ POOさんがご挨拶したいと」
私とMが談笑している場所にスカイが早足で歩いてきた。
スカイの後ろには小太りな男性がこちらに笑顔で手を振っていた。

黒いティーシャツに黒い短パン。
スニーカーも黒だ。

長い髪を後ろでまとめ、両サイドは短く借り上げられている。
黒縁のメガネを掛けている。

体型の割に身だしなみに気をつけている。
程よく香水の香りも漂わせている。
きっとオシャレが好きな感じだ。

「M姐さん、こんばんは。記者会見、最高でした!」
完結にそつなくMを持ち上げる。
彼も相当なビジネスマンなのだろう。

DJ POO。
彼もMがスポンサーをしているタレントの1人だ。

「こちらはPOO。台湾ではちょっと有名なDJよ」
「姐さん、やめてくださいよ。私なんてまだまだ。。」と照れ臭そ
に笑うPOO。人懐っこい笑顔だ。

「彼は私の友人。このパーティの為に日本から来てくれたのよ」
出た!
Mの十八番!
嘘。。。とは言わないが、いつも大袈裟に話を膨らます。
私はたまたま他の用事で台湾を訪れていただけなのに。。。まった
く。

「へぇ~!そうなんですか!さすが姐さん、海外にも友達がいるん
 ですね!」

POOが私を見て右手を差し出す。
私も握り返す。

「コンバンハ。よろしく」
「ありがとう。よろしく」

挨拶を交わし合う。

「そうだ。姐さん、実はJDなんですけど。。。」

JD
台湾の大物ミュージシャンだ。

「今、新作のレコーディングが押してて、今夜は来れそうにないっ
 って。。。」

ジャッキーと親交があり、今夜のパーティに来る予定だったのだ。

「いいのよ。いいのよ。彼は今、台湾で一番の売れっ子。落ち着いた
 らまた台北で食事会でも開きましょう。そう伝えておいて」

「分りました。。。おっ?」
POOの携帯が鳴った。
「姐さん、そのJDから電話ですよ。もしもし。。。姐さん、今、俺の
 目の前にいる。ちょっと待ってて。はい姐さん」
POOが彼の携帯をMに渡す。

「元気にしてる?忙しそうじゃない?えつ?いいのよ~。今はあなた
 にとってとても大切な時期なんだから。えぇ?来週?大丈夫よ」

JDと携帯を通して会話をするM。
楽しそうでもあり、誇らしげでもあった。

声を少し大きめにしているのは周囲に自分の存在を誇示したかったの
だろう。隙が無い女性だ。

「そうそう。今夜のパーティに日本から私の友人が来ていてね。あな
 たの大ファンなのよ~」とMは私に視線を向けてウィンク。

おいおいおいおい。
JDの事は知ってるけど、別にファンじゃないんだけど。。。

横でスカイが吹き出すのを堪えている。

「本当?私の友達も喜ぶと思うわ~。あなた、本当に優しいわね。ウ
 ン、分ったわ。また連絡ちょうだい」
JDとの会話が終わったMがPOOに携帯を手渡し、私に顔を向けた。

「JDが自分のCDにサインを書いてくれるって。あなたへのギフトよ」
「あっ、ありがとう」

いつの満仁やらJDのファンに仕立てられた私。
CDなんて頼んでない。。。

要らないとも言えないし、喉から手が出るほど欲しくもない。
そしてそのCDはいつ届くのだろうか。。。?
微妙。。。


MとPOOがビジネスの話を始めた。

私はスカイに向かって
「JDのCD。もし届いたら、スカイにあげるよ。俺が貰っても価値が
 分らないからさ」

「いやっ!貰えないっすよ~」とスカイは目を大きく開いて両手を
私に向けて手を振った。

「このパーティの後、時間ありますか?」とスカイ。
「空いてるよ。何の予定も入れてない。何かあるの?」

「はい。POOさんから晩ご飯に誘われてて。なかなか行けない店なの
 で、台北の思い出になるんじゃないかと思って。超高級中国料理
 ですよ。僕も行ったことないですけど、超美味しいって評判です」

「行きたいけど。。。POOさんと面識ないしなぁ」
「さっき握手したじゃないですか。もう友達ですよ」とスカイが笑
う。

「さっき会ったばかりなのに悪いよなぁ。しかもPOOさんが誘ってく
れた訳でもないし」
「大丈夫っすよ!行きましょう。マイケルも来ますよ。」

いやいや、マイケルとも今夜初めて会ったばかりなんだけど。。。
まぁ、いいか。流れに身を任せてみよう。

台湾ではこうやって人脈を広げる。広がっていく。

芸能人ではないけれど、土産話にはなるだろう。

あちらこちらで笑顔と笑い声。
賑やかで華やかな台北でのパーティは続く。

つづく。

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