台湾の思い出 やれんのか 2  出張という名の一人旅 7

固くて冷たい空気
そのときの工場内の空気感を今でも覚えている。

「1歩も引けない。引くわけにはいかない。
引く気もない。。。」

自分の表情を見る事が出来ないけれど、こわばった表情を
しながらも強い意志を発していたのではないかと思う。

緊張した空気の中、しばらくすると。。。ドドドドドド。

工場の外に車のエンジン音がした。
音の感じからトラックだろう。

エンジンが止まり、車のドアを開閉する音。
近づく足音。

2人の男が工場に入ってきた。

「うわぁ~、敵が増えてるよ~」
最悪、袋叩きかもなぁ。。。
台湾の海に浮かんだりして。。。

2人の男のうち、一人がサイ社長に近づき、何やら話しかけ
た。

その男がこちらを見て口を開いた。

「what`s problem ?」

あれ、英語だ!
しかもフランクな感じで、表情からは状況を把握しようとし
ている雰囲気が伝わってくる。

「英語、話せるの?」

「あぁ、俺はサイ社長にICチップを供給している工場を経営
していて、取引先は主に海外だから、英語は少し出来るんだ
よ。一体何があったんだい?話してくれないか?」

見方。。。ではないけど、やや中立的な立場に立ってくれる
かも知れない。
そんな期待がふくらみ、少し緊張が解けた。

ICチップの社長に品質面の問題を伝えた。

不良品を手にした彼が電源を入れて、確認をしている。

眉間に皺を寄せ、何度も何度も電源を入れたり切ったりして
いる。

もし彼が「こんなの問題のうちに入らないよ」と言ったらど
うしようか。。。。より悪化した状況を思い浮かべてしまう。

ICチップの社長が電源を入れたり切ったりを繰り返しながら
、不良品を片っ端からチェックしている。

時折、サイ社長と何か話をしている。

「チッ!」とICチップの社長が時折舌打ちをする。

あいつら、1歩も引かない気かも。。。

工場内のスタッフ達は下を向いたり、おしゃべりをしたりし
て落ち着かない。いい加減にしてくれよ、そんな表情を浮か
べてこちらを見ているスタッフもいた。

「さて、どうしよう。どうしよう。」

どうしよう。。。というかどうにかしないと!

サイ社長とICチップの社長をどうやって納得させるのか?

どうする
どうする

何をどう話せば彼等を納得させられるんだ。。。。

つづく

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