台湾の思い出 やれんのか? 出張という名の一人旅 6

工場の中に入る
外気とは違い工場内はややヒンヤリと感じた

天井が高く、その高い天井から吊されている
大きなプロペラのような扇風機がクルーンクルーン
とゆっくり回転しながら工場内の空気を回している
からだろう。

サイ社長が笑顔で立っていた。

私はペンを取り
「全部検品」と紙に書き、サイ社長に見せた。

サイ社長の顔から笑顔が消え、両手を広げて何か言って
いる。

多分、「ナゼ今更そんなことを言うのか?」とでも言っ
ているのだろう。

どうせ言葉が通じない。
そう思った私はパッケージに入れられる前の商品を手に
取り、出来上がったばかりのクリスマスツリーを勝手に
検品し始めた。

ざわつく工場内。

スタッフ達の顔も険しくなった。

でも、関係ないや!

縦横斜め
手に取ったクリスマスツリーを様々な角度から検品する。。

見た目は特に問題がない。

つぎは機能をチェックする。

生産していたツリーはスウィッチを入れるとサンタや星の
形をしたオーナメントが点滅し、ICチップがクリスマスソ
ングを奏でるものだった。

スウィッチをオンにした。
音楽が流れ、オーナメントも無事に点滅する。

よし、次ぎだ。

周囲が呆れているのは言葉が通じなくたって伝わる。

構わず検品を続ける。

何個目かのツリーを検品しているとき、音が外れるツリー
を発見。

別の場所に置く。

しばらくするとオーナメントのひとつが点滅しないものを
発見。

次は電池が装填されている場所に違和感を感じるものを見
つけた。
電池ボックスを明けてみる。。。液漏れ、電池の液漏れだ。

サイ社長が私の元に寄ってくる。

普段通りの声だったけど、目が怒りに燃えているのが分か
った。

「ダイジョウブデショ」(大丈夫でしょう)
サイ社長が「ドウゾ」以外の日本語を初めて話した。

「ノーノー」と首を横に振る私

こんなに不良品が出てるのに検品なしに日本へは送れない!

日本人1人 VS 約30人の台湾人

工場内の空気が更にひんやりとしていく。

やれんのか?

本当にやれんのか、俺???

つづく

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