台北で出会ったミスターブーにそっくりな香港社長こと
小野田社長。
その仕事っぷりは逞しく、またどこか爽やかな風を纏
っていた。
上司から「台北で会おう」との電話を受けた際、面倒
臭いとしか思えなかったけど、小野田社長との出会い
はとても価値のあるものだった。
台北から竹南へ向かう急行列車の中。
香港のオフィスで忙しく働いている小野田社長の姿を
想像した。
「香港かぁ。。。いつか行ってみたいな」
香港。
ブルース・リーやミスターブーが好きだった私には特別
な場所でもあった。
ゴミゴミとした街中で忙しく動き回る香港の人達。
活気がありそうだなぁ。
帰国後、もしまとまった休みが取れそうだったら行って
みようかな?
台湾に来てからほとんど休んでないし、有給も全然消化
出来てない。4~5日、週末も入れれば3日くらいなら
会社も休めるかも知れないな。。。勝手に想像を膨らま
していた。
昼前に工場へ到着。
到着と同時にサイ社長が「ご飯、食べよう」と笑顔で迎
えてくれた。
小野田社長との出会い。
興奮冷めやらない私は誰かに話したくて仕方がなかった。
でも、それをサイ社長に話すほど中国語が上達していな
かった。
美味しい水餃子をほおばりながら、香港を闊歩している
自分の姿を想像した。
小野田社長と出会ってから10日ほど経過したある日。
工場の電話が鳴った。
サイ社長が受話器を取り、「ホ~ホ~」と頷き、私に受
話器を渡す。
上司かな?と思い電話に出ると。
「お~、元気でやってるかい?俺や俺、小野田や。覚え
てる?」
なんと小野田社長からの電話だった!
「はい。もちろんですよ。忘れる訳ないじゃないですか!」
「ホンマかいな~」
と小野田社長。
「あの日はありがとうございました。とても刺激になりま
した。実は社長の話を聞いたら香港へ行ってみたくなり
まして。。。帰国したら会社に休みを申請してみようと
思ってるんですよ」
私は夢中で思いを告げた。
「ホンマか!嬉しいな。1度、見においでよ」
「いいんですか?はい!ありがとうございます!」
「で、いつにする?」
「えっ?とりあえず会社に休みの申請をして。。。」
「もし良かったら来週にでも香港に来ないか?2~3日後、
何だったら明日でもいいよ。俺がチケット買うからさ」
そ、そんなに早く???
行きたい。
今すぐにでも飛びたい!
でも、仕事がある。
そろそろ仕事も終盤。
出来上がった商品を陸送会社へ渡し、船会社へ運ばなければ
ならない。
「ちょっと仕事が。。。もうすぐシッピングなので現場を放
り出す訳には。。。」
「香港、見にこいや~。2人で中国国内の工場も見に行こう
や。君に見て欲しいねん。見て、判断して欲しいねん」
判断????
小野田社長の言う「判断」の意味が分からなかった。
どう返事をして良いのか分からず、しばらく無言でいると
「いやな、君と会ってから、君の事が気になって仕方がない
ねん。もし良かったら香港へ来て欲しい。そして俺の片腕と
として、この香港で一緒に働いて欲しいんや」
えっ??
「そ、そんなこと。。突然言われても。。」
「そやろな。でも、俺から君の上司には話をつけたる。心配
すんな。俺とあいつの仲や。あいつを納得させたる」
嬉しかった。
飛び上がりたいほど嬉しかった。
小野田社長の下、香港で仕事が出来る。
そのチャンスが舞い込んで来たのだから。
つづく
続編が気になります
一期一会という言葉に、ぴったり
小野田社長さんとふるぴんさんは最初に引き合うものがあったんですね
何かロマンチック
肥田木まり子さん
こんにちは~
香港社長
とても魅力的な社長さんでした
香港から電話をいただいた時は本当にびっくりしましたよ~
続きをお楽しみに!