台湾の思い出 新たな登場人物 1 出張という名の一人旅 13

工場が賑やかだ。

工場前の敷地で遊ぶ子供達
彼等が走り回る、ケタケタと笑う声。

幼稚園児、小学生。
人数は少ないけど中学生も混じっている。

台湾の夏休み。

工場近辺には民家が数軒しかなく、朝から夕方まで働
きっぱなしだったので、近所の方々とは触れあう機会
もなく過ごしていた。

それにしても結構な数の子供たち。
工場近辺に住む人の子供たちとその友達なのだろう。

大きな声を出して走り回り、大きな声で笑う。
相変わらず何を話しているかは分からないけど、子供
達を見ていると、自然と笑顔になる。

8時半。
始業時間。
さて、今日も仕事するぞ!

工場に入ろうとすると、子供達が次々と私を追い越し、
工場の中へ。。。。

あれ?
なんで子供達が工場の中へ。。。???

工場に入ると子供達が大人に混じって作業場に座って
いる。

工場で働くパートさん達の子供だ。

台湾は基本共働きと聞いたことがある。
夏休み。
家に子供だけを置いておく訳にはいかず、職場に連れて
きているのだな。

日本ではなかなか見ない風景だな。。。と和んでいると
。。。。

はっ、働き出した!
子供達が働き出した!!!

親に混じって子供達が工場内で働き出したのだ。

もちろん単純作業の部署だけど。。。中学生以下の子供
達が大人に混じって働いている光景に驚かされた。

親に何かを言われながら、ウンウンとうなずいている。
目が真剣だ。

「おはよう!」
社長のサイさんだ。

私は子供達を指さし「小朋友」(子供たち)と言うと、
「忙 忙」(忙しい)とサイさん。

こちらの発注数量が多く、人出が足りない。納期まで
に商品を完成させて船に載せないと。。。そんな事を
言っているのが身振りで分かった。

子供たちに仕事が出来るのか?
安全面は問題ないかな?

そんな思いで彼等の仕事を見つめていたけど、特に問
題は起きなさそう。
出来上がってくる商品にも問題はなかった。

時給は発生するのかな?
一体幾ら払うのだろう?

そんなことを気にしながら、仕事を見ていると工場の
門から一人の男が入ってきた。

20歳くらいの青年だ。

サイさんと何か会話をしながら、私の事を見ている。

こちらを見る青年の視線が気になる。
一重まぶたで鋭い眼光。
敵対視している雰囲気はないけれど、私の事を警戒し
ているような。。。。彼は視線をそらさず、サイさん
の話を聞きながら、ウンウンとうなずいている。

彼は何者?
サイさんの取引業者かな?

新たな登場人物の登場。

私と彼の視線がぶつかる。
工場内に少しだけ緊張感が走る

つづく

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