台湾の思い出 元日本人たちとの出会い 1 出張という名の一人旅 10

サイ社長たち台湾サイドと前向きな話が出来た。

ICチップや電池などの部品が工場から運び出されてしまった
為、仕事にならなくなり、その日は急遽工場を閉める事に。

日本へのシッピング、納期が気になったけど、不良品を送る
より数段良い。
そして。。。疲れた。。。。

まだお昼前だ。

工場に止めてある自家用車、(竹南で買った自転車)に乗っ
て工場を後にした。

よく利用していた竹南唯一の日本料理屋、東京でエビフライ
定食を食べ、冷えたコーラを飲む。

店で働いている子達が何やら話しかけてくるけど、サッパリ
分からない。

東京のママさんが「ごめんね。日本人見るの初めてだから」
ママさんは少しだけ日本語が話せる。
彼女も以前、日本人との結婚、そして離婚を経験していた。
台湾に戻ってからは日本語を話す機会がなく、もうあまり覚
えていないと話していた。

「中国語を覚えて、こっちで嫁さんもらってこの街に住め
ばいいよ」
毎回、ママに言われる。

それも悪くないかな~
何も考えず、そんな風に思ったりもした。

支払いを済ませ、自転車に乗る。

さて、どうしよう。。。

この田舎町に来て以来、朝8時から夜6時まで働き、晩ご飯
を食べてホテルで寝るだけの生活が続いていた。
工場ではトラブルが続き、心も身体も疲れていた。

ちょっと遠回りしてみようかな。

いつもは通らない道を走ってみようかな
もう少しこの町の事を知るのも面白いかも。

すっかり旅人気分になっていた。

毎日素通りしている小さな小道に入る。

レンガ作りの平屋が多く、太く高い木々。
漢字表記の看板。
耳にする異国の言葉。

観光地じゃないけど十分新鮮だった。

しばらく行くと町並みが消え、遠くから鶏の鳴き声。
鶏舎が見えてきた。

私が小さかった頃、母の実家には鶏舎があり、休みの
日に遊びに行くと、よくたまご取りを手伝わされた。
幼い日々を思い出す。

もうしばらく進む。
獣の臭いが強くなる。
豚小屋や牛小屋だ!
ブーブー、モーモー。
日本にいる時には聞く機会のない獣たちの鳴き声。

水田地帯に入ると涼しい風が吹いてきた。
気持ちが良かった。

のんびりしてていいなぁ~。

自転車を止め、少し涼んだあと、もと来た道をまた戻る。

再びレンガの家並みが見えてきた。

今度はまた違う道を走ってみる。

しばらく走っていると家のガレージに座っているおじい
ちゃん達を発見。

何をしてるんだろう?

スピードを落として彼等を見ると。。。麻雀をしていた。

大きな声で話したり、笑ったり。
とても楽しそうなやり取りを見ながら、自転車のスピード
を落とした。

そんな私に気がついたのか、麻雀を楽しんでいたおじいち
ゃんの一人と目が合う。

あれ、邪魔しちゃったかな。
と思った瞬間。。。。

「日本人か?」
目が合ったおじいちゃんが私に向かって日本語で叫んだ。
他のおじいちゃん達が一斉に私の方を振り返った。

「あっ、はい。そうです。日本語、出来るのですか?」と
聞くと

「お~、あんた日本人か。こっちに来なさい。」
と私の質問を無視して手招きをしている。

捕まっちゃったな。。。
仕方なく自転車を止め、おじいちゃんの方へ近づいた。

「あんた麻雀出来るか?」
「いえ、ギャンブルはやりません」

「わっはっはっは!真面目だな。座りなさい。」
とプラスチック製の椅子に座るよう促してくれた。

なぜか日本語を話すおじいちゃん。
う~ん、面倒くさい事にならなきゃいいんだけど。。
適当にやり過ごそう。
5分位話して立ち去ればいいや。

そんな軽い気持ちで椅子に腰掛けた。

つづく

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