初めての海外出張で訪れた台湾。
初めて訪れた台湾。
現地の人々と触れ合い、すっかり台湾が好きになってしまった私。
会社を退職した後も、多い時で年に数回、今は数年に1度は現地を
訪れている。
今では台北その他の街にも友達が出来、1度の訪問で全ての友達に
会うのが不可能になっている。
今回はサイ社長の息子、ベイビーが通っていた専門学校で教員とし
て働いていたチェンとその仲間とのエピソードだ。
会社を辞めた後も、チェンには時々電話をしたりして友情を深めて
いた。
「こっちこっち!」
新竹駅前のロータリーに車を止めたチェンが大きく手を振っていた。
「お~!久しぶり~!元気そうだね」
「うん、お陰様で」と笑顔を見せるチェン。
「とりあえず車に乗って。ウチへ行こう」
「ありがとう」
チェンが運転するボロボロのBMWに乗って、新竹駅からチェンの家へ。
チェンは専門学校をから公立高校の教師になっていた。
そして学校には内緒で内装デザインのオフィスを開いていた。
公立高校の教師なので公務員。
台湾でも公務員の兼業は禁止されているのだが、これまでのところ公
になることもなく、仕事を両立しているそうだ。
久々の再会。
あれこれ話をしている間にチェンの家に到着。
「今回も泊まっていってね」
「うん。ありがとう。いつも悪いね」
チェンは古い一軒家を購入。
内装は彼自身でデザイン設計し、仲間の大工たちに仕事を依頼してい
てこの家をリノベーション。材料は自分の仕入ルートを活用し、内装
に使う備品や装飾品はタイで買い付けている。
シックな室内に東南アジアの装飾を使う仕事が地元のお金持ちたちに
好評で、広告宣伝することなく口コミで次から次へと仕事が舞い込ん
でいるそうだ。
3階建ての一軒家に1人で住んでいるチェン。
ゲストルームもあるので、毎回ではないけれど、私はチェンの家に泊
まらせてもらう事がある。
日本から背負ってきた大きなリュックをゲストルームに下ろすと、
「今、お茶を入れてるからさ。リビングでゆっくりしよう」とチェン
が声を掛けてくれた。
顔の広いチェン。
お茶に詳しい知人が季節毎に美味しい茶葉を持ってきてくれるそうで、
彼の家でお茶を飲むのが密かな楽しみになっていた。
チェンの家の1階、広いリビングでお茶をしていると、チェンの携帯
が鳴った。
「19時に店に集まるみたい。その前に食事していこう」とチェンが
席を立った。
私が台湾を訪れる度、チェンと彼の友達が歓迎会を開いてくれる。
毎回顔を合わせるうちに仲良くなった人、初対面の人。
総勢30名くらいが集まる、ちょっとしたイベントだ。
今夜の歓迎会はいつもとは違ったメンバーになるとチェンが話してい
た。
再びチェンの車に乗り込み、市内にある日本料理屋で晩ご飯。
地元の人向けの日本料理屋は台湾人好みの味になっている店が多いが、
この日本料理屋では日本と同じ味が楽しめる。
チェンと出会った頃、何度か連れてきてもらった事がある。
日本料理屋なのに誰も日本語を話せない。
古くて狭い、でも美味しい。
板前さんとチェンが楽しそうに会話している間、私はパクパクと口を
動かす。
まだ電話が鳴る。
台湾人はせっかちだ。
「もう集まってるみたいだ。もう少ししたら行ってみよう」
食事を済ませ、会計を済ませ、私とチェンは歓迎会の会場へ向かった。
店は住宅街に近い場所にあった。
店とは言うものの一軒家だった。
看板も出ていない。
庭付きの大きな大きな一軒家。
入口でチェンが呼び鈴を押すと、大きな扉が開く。
男性スタッフが扉を開けてくれた奥で、女性スタッフが2人笑顔で挨拶
をしてくれた。
大きな一軒家を改造した店。
ちょっと高級な雰囲気だと思いながら歩いていると中国語の歌が漏れ聞
これてきた。
住宅地に近い立地ということもあり、各部屋は防音になっているようだ
った。
「こちらです」と女性スタッフが振り返り、ドアを開けてくれた。
同時に大音量の歌声が飛び出してきた!
部屋の中には男、男、男。
広い部屋に男が30人ほど。
チェンの姿に気が付き、歌声が止み、カラオケの音楽だけが流れ続ける
室内。
全員が立ち上がり、一斉にチェンに話しかける。
大声で冗談を言い合う。
「私の友達の日本人です」とチェンが私を紹介してくれた。
オ~~~~~ッ!
歓声が上がる。
とても歓迎されている。
怖いくらいだ。
「まずは一杯!」
一人の男がコップを2つ持ってきて、私とチェンの為にビールを注いで
くれた。
一気!一気!一気!
どこからともなく始まる一気コール!
日本のお笑いタレント、とんねるずは台湾でも大人気だった。
彼らが歌う歌は台湾でも大ヒットしていた。
その影響があって一気コールは台湾人の間でもブームになっていた。
ジョッキではなく小さなコップでの一杯。
普段はビールを飲まない私でも楽々飲み干せる。。。でも、ビールが
苦手な私には苦手だった。
私とチェンがビールを飲み干すと同時に一人の青年が近寄ってきた。
チェンに挨拶をしている。
中肉中背だがきりりとした目元。
直立不動でチェンの言葉を聞いている。
「初めまして」
その彼が笑顔で挨拶をしてくれ、席へ案内してくれた。
「彼は2年前に学校を卒業して、今は街の警察署で勤務する警察官だん
だよ」チェンが紹介してくれた。
絵に描いたような好青年(古い言葉だ)
日本のイケメンとは違う、どこか懐かしい感じのする好青年なのだ。
警察官だけあって言葉もハキハキ(何を話しているのか分からないけど)
初対面だけど頼りがいがある。
好印象だった。
奥に座る年輩の男性が手を上げるとチェンと私はその男の元へ。
挨拶を交わす。
笑顔の奥に威厳のある顔立ち。
話し方も落ち着いている。
「彼はこの街の警察署の署長さんだよ」とチェン。
「えっ?そうなんだ!」
「うん、そしてここにいるみんなは警察官。今日は警察官ばかりの集まり
なんだよ」とチェンが説明してくれた。
警察官ばかりが約30名。
暑苦しいなぁ~(笑)
再び始まる大音量のカラオケ。
チェンとの会話が成立しないほどの大音量。
耳が壊れそう。
でも、彼らの楽しそうな笑顔を見ていると、私も楽しくなってくる。
交わされている言葉は相変わらず分からないけど、自然と笑顔にな
っていた。
肩を組んでカラオケを熱唱するグループ。
ビールの一気飲み対決しているグループ。
腕相撲をしているグループ。
台湾人の男はいつまで経っても高校生のよう。
あっ、高校生は酒飲めないや(笑)
これが台湾の宴会だ。
宴の始まり。
飲み会始めだ!
初めてましてBABON SAN!
新シリーズ拝読しました。
台湾でのエピソードですね!人との触れ合いでその風土が好きになるのはとても良い事ですね。きっと素敵な思い出になったのだと思います。飲み会の様子
一気コールなどが楽しそうで印象に残りました!また楽しみにしてますね
沢崎まどか さん
こんにちは
新シリーズ
始めてみました。
台湾で出会った奇妙奇天烈な人達や彼らとのエピソード。
現地の空気感もお届け出来たらと思っています。
ありがとうございます!
また遊びに来て下さいね!